ラストランと神の裁き【前編】
◼️前置き
昔何かの映画で見たんですけど、『懺悔室』というものがあるそうです。
教会の片隅に設けられた小部屋に神父さん的な人がいて、その人に自分が犯した罪や悩みを匿名で告白するお部屋です。
『告解部屋』とか『ゆるしの秘跡』なんて呼び方もあるらしいけど、僕が見た映画では『懺悔室』って呼んでたなぁ。
この懺悔室、罪を償う方法とかお悩み解決の手段なんかを求めるっていうよりは、神様に罪の意識を吐き出して気を楽にするための場として活用されていたようです。
僕は宗教全般を特に信仰しているわけではないけど、気持ちを吐き出すことで気分が晴れるってのはよくわかる。
かくいう僕も胸の奥にしまい続けたままの苦しい想いがいくつもあります。
今回はね、その中でもとびきり一番の過ちを打ち明けることで楽になりたい。
誰に迷惑をかけたわけでもないけど、倫理に反する行動を取ってしまったあの出来事を…。
この日記は性行為後の余韻…ピロートークのようなものですけど、今回は懺悔室の役割を果たしてもらいます。
◼️全てにありがとう
僕には二十数年間彼女がいなかったので、その間に色々と拗らせてしまっていた。
大きな拗らせとしては『純愛モノ』がNGなことかな。
純愛モノのドラマや映画、漫画なんかをみると色んな負の感情が沸き起こり、最終的に『なんかクソムカつく』のでみることを体が拒否するようになっていた。
このかわいい女の子、なんで僕のものにならないの?
このエロい女の子、なんで触れられないの?
疑問とともに湧き上がる、羨ましい、妬ましい、恨めしいといった暗い色の感情。
この負の感情が絵の具だとして、ぐちゃぐちゃに混ぜたらウンコ色の絵の具になるやろね。
描く題材はもちろん『クソムカつく』。
印象派ならぬ陰湿派として個展でも開いたろか。
「AVでも純愛NGなの?何もみれなくね?強姦モノとか痴漢モノとかじゃないとダメなの?」って疑問に感じる人もいると思うけど、『純愛』と『和姦・強姦』は関係ない。
純愛が嫌なだけなんで、和姦でも楽しく抜きます。
例えば『彼女の家で普通にセックスするAV』は“純愛であり和姦”なので死ぬほどクソムカつくけど、『彼女の家に行って彼女のお姉ちゃんに気に入られてしまいセックスするAV』は“純愛ではない和姦”なのでめっちゃ抜ける。
竿役と女優が愛し合っているみたいな設定であっても、『普通の恋愛』『普通のシチュエーション』でなければセーフなのだ。
例えばハーレムとかね。
だからAVで困ることはそんなにないね、元々僕の逆鱗に触れるようなフツーの純愛のAVなんか少ないし。
ちなみに僕の琴線に触れる組み合わせは『ハーレム』『痴女』『逆レイプ』ですね。最高。
でもNTRはなんだか物悲しくなってしまうので苦手ですね。
んで、拗れ具合の極め付けとしては『恋愛』と書いて『セックスするための正当な手続き』と読んでしまうことかな…。
現実世界で恋愛というものを知らないことや、仮想世界であるAVや風俗に出てくる女性は百発百中でセックスをしているせいで、そういう捻くれた見方になってしまった。
残念だ。
逆に風俗やセフレは『セックスするための不当な手続き』ってことになるけど、互いに了承した上で等しい価値の交換をしているので、恋愛というぼんやりしたものよりはよっぽど明瞭会計だなぁと思う。
で、そんな拗れに拗れた僕なんですが、彼女がいたことがあります。
友人の紹介で知り合い、何度か遊び、僕の方から告白をしました。
結果はOKでした。
初めての彼女だったのでめちゃくちゃ舞い上がってしまいました。
懐かしいなぁ。
で、問題が起きたのは告白した日のことです。
その日は二人で遊んで、ご飯を食べて。
そんでライトアップされた夜桜なんかを見て。
夜桜がめっちゃ綺麗だったし、告るなら今!!
ってタイミングで勇気が出ずにチャンスを逃してしまいました。
でもその後、帰り際になんとか勇気を振り絞り、ぐだぐだになりながら告白。
無事にOKをいただくことが出来ました。
本当に嬉しかったですね。
存在を認められた気がした。
肯定してもらえることがこんなに幸せなことだと初めて気付き、自分の今までの拗れた思考が愚かだったことを思い知りました。
これからは心を入れ替えよう。
拗れていたり捻くれていたりすることをカッコイイと思うなんてのは大間違いだ。
少し遅くなっちゃったけど、これからは恋だとか愛だとかそういうのを大事にしていこう、うん。
告白が成功した後、「ありがとう、これからもよろしくね」と言い残し、彼女は改札を抜けていった。
僕はその後ろ姿…彼女の後ろ姿を眺めながら、色んな思いを巡らせていた。
やはり反省とケジメがいるよな、って。
今まで他人の不幸を喜んでいた。
他人の不幸は蜜の味っていうように、誰々が誰々と別れたって聞くと酒の肴にしていたし、誰々と誰々がケンカしたって聞くと紅茶のスコーンにしていた。
他人の不幸が蜜の味なら、自分の幸福は何の味?
そりゃ罪の味でしょうよ。
付き合うからにはきちんと真面目に筋を通していきたい。
その一人のみを異性として生涯を共にしたいんだ、という倫理感覚がある。
散々風俗に通い色んな女性と関係を持ったことを別に罪とは言わないけど、やっぱり多少なりとも負い目のようなものを感じる。
自分が幸福だからこそ、その幸福に見合うだけの価値が自分にはあるのか?なにか清算しなくてはいけないのではないか?なんて考えてしまう。
僕にとってその清算すべきことは、どう考えても風俗だ。
風俗に支えられてきたおかげで今の自分がある。
辛い時は嬢に話を聞いてもらったし、寂しい時は嬢に寄り添ってもらった。
もちろんコストはかかるけど、それ以上に癒してもらったし、楽しかったなぁ…って思う。
でも、彼女が出来たからにはもう風俗は利用しないことにする。
パートナーがいるのに他の女性と性的な行為をするのは倫理に反する。
「心と体は別物だから、彼女を愛してさえいれば体だけの関係である風俗は浮気になんない」なんて言う人もいるけど、僕はそうは思わない。
浮気だと思うし、浮気は悪いことだと思う。
裏切り行為だと思う。
だから僕は風俗を『卒業』する。
駅の改札前。
僕は彼女の後ろ姿が見えなくなるまで眺めていた。
細い背中が遠くなり、そして人混みの中へと消えていった。
守るべき大切な存在が出来たんだなぁ、と実感した。
そして改めて決意した。
ピンサロいってくるわ、と。
◼️僕と彼女とピンサロと
長くなったけど僕の懺悔って要は
『彼女が出来たその日にピンサロに行ったこと』
なんだけど、何がどうなってその結論に至ったのかを説明させてもらうと同時に贖罪としたい。
まず最初に言っておきたいのが、僕は風俗にはめっちゃお世話になっていて、僕の中での風俗はもう母校よりも身近な存在になっているということ。
それならちゃんと卒業式を上げなきゃ!
そんで今日この日の風俗店利用をもって僕の風俗通いに終止符を打とうと、そういう区切りというかケジメにしようという意味を込めて風俗に行くことを決意したんですよ。
卒業式というよりは引退式やね。
ラストランだ。
じゃあどこでラストランしようかなという話になるんだけど、僕には日々通うような固定の店舗がないのでとりあえず最寄りの店で済ませようと思った。
システムについては…今まで一番お世話になったシステムは『ソープ』だったんだけど、ラストランは『ピンサロ』に決めた。
なぜピンサロなのかって、そりゃお前…
彼女がいるのに他の女性とセックスしたらダメだろ。
僕は倫理観はちゃんとしていると自負してるんでね、彼女がいるのに他の女性とセックスするのはいけないことなんだってわかるんだよね。
小学生の頃一番好きな科目は『道徳』だったからね。
「じゃあ彼女がいてもピンサロはセーフなの?」
「キスはセーフなの?」
「生殖器へのアクセス…手コキやフェラはアウトじゃないの?」
「てか彼女見送ったその足でピンサロ行くのはヤバくない?」
うるせ〜〜〜〜〜!!
その辺の線引きはさ、結構曖昧じゃん?グレーじゃん?
神のみぞ知るってやつでしょ。
誤っているならなんらかの裁きがあるだろうから座して待てって。
で、そういう理由があってピンサロに行くことに決めたんですけど、実はもう一つ理由があるんですよ。
それは…
僕は既にシアリスをキメていたから。
先行してED治療薬を服用し、勃起出来る体になっていた。
ほら、告白してその流れで性交って可能性を考慮するとさぁ、予め服用しとくべきじゃんか。
で、結局その機会はなかったんだけど、せっかく勃起出来る体なのにそのまま帰るってもったいなさすぎるよね。
だって1錠1800円だよ?
活用したいわな。
改めて文章にすると本当に最悪だな、僕…。
とにかく僕は彼女を見送ったその足で、最寄りのピンサロへと向かった。
◼️新世紀エ懺悔リオン
「いらっしゃいませ、ご予約はされていますか?」
受付のお兄さんに聞かれる。
僕「いやしてないです」
受「承知しました。そちらのボードの写真一覧をご覧いただいて…この花のマークが付いている子が本日出勤されている子です」
僕「なるほど。すぐ入れる子いますか?」
受「すぐですと…◯◯ちゃんだけですね」
僕「じゃあ◯◯ちゃんでお願いします」
すんなりと決める。
このピンサロは結構レベルが高い子が多いしどの子が来ても満足出来るだろう。
待合室で待つこと数分、ボーイさんに「準備が出来ましたのでお席までご案内します」と連れて行かれる。
薄暗い店内、妖しく輝くLED、騒々しいBGM、芳香剤と香水とタバコの混ざったような香り。
これらとも今日でお別れか、もう二度と来ることはないんだなぁと思うとセンチメンタルな気分になる。
パーテーションで仕切られた狭い区画に簡単なソファが1つ。
しばらく待つと嬢が現れた。
嬢「こんばんは~」
僕「あ、こんばんは、よろしくお願いします」
嬢「よろしくお願いします!」
うんかわいい。
少しだけむちっとしているけど垢抜けた感じで明るい子のようだ。
そんで若いね、20代前半かな。
雑談を開始する。
嬢「お兄さんよく来られるんですか?」
僕「月1くらいかな~」
嬢「あ、そうなんですね!この辺に住んでるんですか?」
僕「そうそう、家から近いからね。徒歩10分くらい」
嬢「へ~!近いですね~!」
みたいな雑談をしつつ嬢の全体を凝視する。
この店舗は基本的に衣装が制服だ。
白やブルーやピンクのYシャツ、胸元には大きなリボン。
そして短めのチェックのスカート。
渋谷とか池袋にいる女子高生って感じだ。
嬢「早速なんですけど、上に乗ってもいいですか?」
僕「うん、おいでw」
嬢「はぁい♪」
ソファに腰掛けていたが、嬢が僕の足の上に跨ってくる。
嬢が僕に跨ろうとする際に、スムーズに移動できるよう背中とお尻を抱きかかえるように支えてあげる。
嬢「わ、お兄さん優しいw 慣れてます?めっちゃモテそうですよね」
嬢のヨイショが炸裂する。
ちなみに省いているけど僕は既に10回くらいかわいいとべた褒めしている。
そのお返しの定型文としての「モテそうですよね」だろうけど、分かっていてもやっぱり少し嬉しいよね。
僕「いやいや全然モテないよぉ」
嬢「え~、モテそうなのにw」
僕「もう全くw」
嬢「え~w じゃあ最後に彼女がいたのっていつ頃ですか?」
僕「うーん…なんというか…」
嬢「?」
僕「1時間前くらいに彼女出来たね」
嬢「え、は?」
嬢が呆然とする。
嬢「どういうこと!?」
僕「いやまぁ、さっき告って彼女出来たんよ」
嬢「ええ!?やっぱそういうこと!?」
ボーボボのビュティみたいな切り返される。
僕にもそれなりに罪悪感があるからどんな顔をすればよいかわからない。
僕はとりあえず他人事のようにハハハと笑った。
嬢「ちょ、ダメでしょ!来たら!」
正論すぎて返す言葉がない。
同意するしかない。
僕「だよね、僕もそう思うんよね」
嬢「じゃあなんで来たのwww」
僕「いや~、うーん…」
ざっくりと「ラストランしに来た」ことを伝える。
嬢「そっかぁ…思い出作り的な感じ?」
僕「まぁそうやね」
嬢「わかった!なら精一杯頑張るw」
なんとかわかってもらえた。
ほんなら色々よろしく頼むよ、ゲヘヘ。
サービスサービス♪
で、その後はキスしたり乳首触ってもらったり手コキしてもらったりフェラしてもらったりと、一通りのサービスをしてもらい、無事に射精した。
最後ということで感情が昂り、いつもより大袈裟に喘いでしまった。
ラストランあるあるですね?
射精後は碇シ◯ジくんの名セリフ「最低だ、おれって」を思い出した。
ほんまに最低な気分になるんやね、勉強になった。
でもまぁ終わったことは仕方ない!
時計の針は元には戻らないからね。
でも自らの手で進めることは出来るからね。
今後は誠心誠意彼女に尽くすんだ!うん!
まさかこの後あんなことになるなんて…。
この時、僕は知る由もなかった。
後編へ続く